コーサク室のアップサイクル活動「リ・コーサク」
「リ・コーサク」とは、さまざまなものづくりシーンから発生する端材やサンプル材などをものづくりに活かし、新しい価値を持ったプロダクトを生み出すコーサク室の取り組みです。これまで、端材やサンプル材などを活かして、コーサク室オリジナル作品をいろいろ創ってきました。
▼内装材のサンプル材を活用したロボコンステージ(→こちらの記事参照)
▼アクリル材と木材の端材を活用したフレンチクリート
▼アパレル資材の端材や古着を活用した帽子
▼未利用資源の丸太を活かしたコーサクキット
▼牛乳パックと端材を活用して創った世界の家(ワークショップ開催)
端材を活かすって、言うほど簡単じゃない
コーサク室では、端材などコーサク材料になるものをご提供いただく機会があります。「大事に活かします!」と、ありがたくいただいて、さあ、何に活かそうかなと考える時間は、とても楽しいもの。けれど、端材たちを前にして、いつも思うことがあります。「ゴミで、ゴミをつくる」ということにはできる限りしたくない、と。
この表現は、あまり気持ちのいい言い方ではありませんが、あえて書きました。
私たちは「端材を活かすって、案外、難しい」と実感しています。工作に自由に使って、切り貼りして、そういう使い方もいいんです。先にご紹介したMy Homeコーサクワークショップは、まさにそんな使い方です。
けれど、一つひとつの素材を提供くださったパートナーの皆さまの仕事、素材が端材となるまでのストーリー、コーサク室ならきっと有意義に使ってくれるだろうという嬉しいご期待、いろんな背景を思うと、もう一歩進んで、新しい価値を生み出すような使い方を考えたい。もちろん私たちだけでできることではないので、はてさて、どうしたもんだろうか、と。
端材・廃材のポテンシャル
ビンの蓋や受け皿になっているカラフルなアイテム、これ何でできていると思いますか?
実はこれ、ペットボトルキャップでできています。ハンドメイド作家・FLAVASTAさんの作品です。コーサク室スタッフ、一目惚れです。きっと、ほとんどの人が「えー、これ本当にペットボトルキャップ!?」と思わず聞き返しちゃうと思うんです。
気になって、どうやってつくっているのか、なぜペットボトルキャップで作品を作ろうと思ったのか、いろいろ、いろいろお聞きしてしまいました。FLAVASTAさんからのメッセージを少しご紹介します。
FLAVASTAさんからメッセージ「ゴミ箱が宝石箱に見えて!」
アップサイクルを始めたきっかけは、小さい頃からゴミを活かして工作をしたり新しいものを作るのが好きでした。その頃はアップサイクルやリサイクルみたいな意識はなく、「こんなに可愛いものが捨てられちゃうなんて」「何かに使えないかなぁ?」と、置物や箱、アクセサリーを作ったりしていました。ハンドメイドを始めてからもその気持ちは変わらずハギレなどを使って作品を作っていたのですが、ある時ペットボトルキャップのゴミ箱が宝石箱に見えて!
とってもカラフルで溢れたゴミ箱の中身。コレらを何かに変えられないかなぁ?とその場で調べてみると"pp素材は毒性がないので安全に溶かせる""割と低い熱で溶ける"と記載されていました。「それなら家にあるもので出来るんじゃない?」とアイロンを当ててみると、タイダイのような可愛いプレートが出来上がり、キュンとしたのです!
最初は今のようにきれいにできませんでしたが回数を重ねるうちに特性が分かってきて、綺麗に作る方法や厚みを変える方法、立体の物を作る方法を独自で編み出しました。什器や型を使わずに、全て手作業でpp素材をアップサイクルしているのがFLAVASTA独自のポイント!きっとまだ可能性はあるはず!
※8/24(木)に、このペットボトルキャップを使った宝物トレイづくりのワークショップを、FLAVASTAさんにお願いして開催くださることになりました! ぜひ、ペットボトルキャップのポテンシャルを、自分の手で実感しにいらしてください。
「端材と、ちゃんと、出会う」機会を
FLAVASTAさんとの出会いをきっかけに、リ・コーサクの取り組みについて、少し考え始めたことがあります。それは、「素材と、ちゃんと、出会う」ということ。
「ペットボトルキャップのゴミ箱が宝箱に見えて!」という言葉どおり、FLAVASTAさんとペットボトルキャップとの出会いは、なんだかキラキラしています。「何かに活かさないと捨てるしかない素材」ではなく、「宝物素材」として出会うこと。そうすると「この端材は何に活かせるかな」「これを使って何を作ろうかな」という発想も、素材のポテンシャルを引き出すような、そんなプロセスになりそう。
ほら、好きな人に出逢ったらもっと知りたい、仲良くなるにはどうしたらいいかな、っていろいろ考えたり、相談したり、いつもと違うヘアスタイルとかファッションを試しちゃったりしませんか? それと同じ感じになると、イイなあと。
「チョコ・ザイ」との出会い
まさにそんなことを考えていた時に、「チョコ・ザイ」と出会いました。
「チョコ・ザイ」とは、「ものづくりで生じる端材に少し手を加えた新しい素材」のこと。東京都足立区を拠点に活動されているソーシャルラボ「未来DESIGN」の皆さんのプロジェクトです。
足立区は中小の事業者がたくさんあり、製造業が盛んなところ。未来DESIGNの皆さんは、それぞれ製造業を営んでいらっしゃる方々。寸法が余ったもの、作業の残りカス、規格に合わなかったものなど、自社の製造現場から出る端材を、規格外れだからこそ何かユニークで、面白く、愛らしく、扱っていらっしゃいます。その想いは「チョコ・ザイ」という愛らしい名前から伝わってきますね。
未来DESIGNの皆さんに「チョコ・ザイ」のお話をお聞きした時、まず最初に、いろんな作家さんたちが喜んでくれるかな、と思いました。同時に、喜んでもらえるような出会いの機会を創っていきたいと思いました。端材等のご提供はとてもありがたいものですが、上手に活かすことが出来なくてちょっと困る時もあることを、コーサク室は経験しています。そうなると、提供してくださる皆さんに、申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまうんです。
コーサク室の「コーサク」という言葉は、3つの意味を込めています。そのうちの一つが、「人と人、人とコト、コトとコトの交錯」です。ものづくりの環境を提供するコーサク室は、端材などの素材を「宝物素材」としてつくり手さんに出会ってもらう機会づくりならお役に立てるかも、と思ったら、ストンと腹落ちしたのです。この役割、「リ・コーサクマッチング」と名づけてみます。
つくり手さんが自分にとっての宝物素材に出逢ったら、活かし方もどんどんブラッシュアップされそうです。提供くださる方々も、端材を「宝物」に変身させようと、一緒に頑張ってくれそうです。
未来DESIGNの皆さんと一緒に、チョコ・ザイの「リ・コーサクマッチング」、やってみたいなと思っています。詳細は近日中に、またお知らせしますね。お楽しみに!