エシカルは”おもいやり”でできている 〜「Semba Ethical Design Week2022」訪問レポート

空間創造企業の株式会社船場さんは、内装材の端材やサンプル材をリ・コーサク素材としてご提供くださったり、ロボコンのステージパートナーになってくださったり、シモキタFABコーサク室を応援くださる素敵な企業です。その船場さんのオフィスで9月27〜30日に開催された「Semba Ethical Design Week2022」に、コーサク室スタッフがお伺いしました!

株式会社船場さんと「Semba Ethical Design Week2022」

「Good Ethical Company」を企業ビジョンとし、エシカル活動に力を入れ推進している船場さんが、業界の枠を超えたパートナーとのエシカルな取り組みを発信するイベントとして開催されたのが、「エシカルデザインウィーク」です。私たちは主に、エシカルマテリアルの展示を見せていただきました。

■株式会社船場についてhttps://www.semba1008.co.jp/
空間創造における調査・分析、コンセプトメイキング、企画・コンサルティング、デザイン・設計、制作・施工、デジタル技術を生かした空間演出、メンテナンスならびに施設運営。大型商業施設や飲食店といった商空間から、オフィス、教育、ヘルスケア、ホテル、余暇施設など幅広い分野において、国内および海外7拠点で事業を展開。2021年よりエシカル活動に力を入れ、人や地域や自然環境に対して思いやりの視点を持ち、空間創造における全てのデザインプロセスを「Re-think」することから始めるSemba Ethical Design Thinkingを推進。2022年から「未来にやさしい空間を」を企業のミッションに掲げています。

飛騨の森の忘れもの

会場に入ると、どどーんと大きな切り株がお出迎え。飛騨の森から伐り出された木材が集積する土場から出る切り株や曲がり木、そのものが持つ魅力を伝える船場さんのプロダクトです。デジタル技術を駆使して大きな株を支える支柱の長さや位置を設計、大きな曲がり木を形を崩さずにいくつかに分割して運び、また繋ぎ合わされて展示されていました。このような切り株や曲がり木は、その魅力をそのまま活かした家具などに生まれ変わっています。

▲表面にはいくつもの虫たちの仕事による穴が。指を入れてみると少し湿り気を感じます。切られても、まだ木は生きているんですね。内部に広がる未知の世界をスコープで覗きたい。

エシカルマテリアル

エシカルマテリアルとは、未来にやさしい空間をつくる「素材」のこと。エシカルマテリアルの展示には、「作って、使って、捨ててオシマイ」にしない、素材のライフサイクルを探求する取り組みがたくさん紹介されていました。一部をご紹介します。

●ロングライフ・セカンドライフ
【100%廃棄物でできたタイル】
※参考URL:https://x-s.jp/products/akatsuki/#gsc.tab=0

耐久性に優れ長く使われる素材「タイル」も、役目を終えると瓦礫として埋め立てにまわるそう。その瓦礫を、またタイルにするという取り組み。長い人生、コミュニティやストーリーの一員で在りたい、というのは人だけじゃないですね。新たな姿で空間を彩るタイルのセカンドライフ、そのストーリーを知ってタイルを見つめたら、まるで素材が喜んでいるようで、愛おしく感じます。

●資材は資財
【接着剤不要の置敷長尺シート】
※参考URL:https://www.abc-t.co.jp/products/detail/8002.html

くっつけてしまうと再利用時に剥がすという作業が生じるけれど、接着剤不要とすることで、リユースがしやすくなる。「また使う」ことを前提にすると、次の利用価値につなげる工夫が生まれるだけでなく、メンテナンスを容易にしたり、今の使う人にとっても嬉しいことが。まさに「資材は資財」という前提が生み出した循環ですね。

●性能と回収の両輪
【国内回収廃ペットボトル100%のカーテン】
※参考URL:https://www.lilycolor.co.jp/interior/lilycolornote/210707.html

分別回収が習慣化しているペットボトルは、リサイクル習熟度が高いマテリアルだそう。ファブリックやフィルムなど、さまざまな製品にリサイクルされています。「使う→回収→生まれ変わる」の仕組みそのものがデザインされ、良い循環を生み出している。分別回収という日常的な行動が良い循環のデザインに組み込まれていると思うと、ちょっと嬉しい。

●自然と社会の循環
【100%食品廃棄物からできた新素材】
※参考URL:https://fabulajp.com/

「これが白菜?え、これはみかんの皮?ゴボウは、うん、わかる」 と思わず呟きながらみた素材は、100%食品廃棄物からできたものでした。白菜の廃棄物で作った素材は、コンクリートの約4倍の曲げ強度があるそうです。柔らかくて美味しい白菜のどこにそんなパワーが、とびっくり。この素材は、お皿などの小物や家具など、金型次第でいろんなプロダクトに。食材という身近な素材だからこそ、より一層、美味しくいただいた後も資源として循環させていく仕組みに興味を持ちました。フードロスの解決にもつながっていきそうですね。

エシカルなデザイン活動

エシカルマテリアルに、姿をカタチづくりストーリーを紡いでいく、それがエシカルデザインの役割でしょうか。船場さんのオフィスにある作品には、プロのデザインと、ちょこっと遊び心やイキなあしらいが見えます。

▲左上から時計回りに。「丸太の切り落とし部分を組み合わせたもの」「チップになる小径木の端材を加工してはぎ合わせ紅葉樹の多種多様な色合いや木目の違いを楽しめる天板」「クッションの中身になるスポンジとカラーコーンを組み合わせた楽しいベンチ」「カーペット材を組み合わせたスタンディングテーブルの脚」

「エシカルデザインウィーク」で展示されていた素材は、100種以上。素材を集め、整理し、独自のエシカルマテリアル基準でデータ化し、未来にやさしい素材を見える化するプロセスは、とても大変で地道な作業の連続だったろうと想像します。
多種多様な素材が世の中にはあり、その特性を知り、エシカルな活用を探究している人たちがたくさんいらっしゃること、その素材が循環して未来にやさしいプロダクトを生み出していること、循環すればするほど未来はもちろん現在の人にも社会にもやさしくなっていく、そんな気づきをいただきました。そして見終わった後、なぜか、ちょっとワクワクしている自分がいました。

目の前にある素材や材料をいつもより少し時間をかけて見つめてみたり、ちょっと面白がっていじっていると、どんなものを創るか、いろんなイメージが浮かんできます。特別な技術がなくても、コーサク室で子どもと一緒に楽しむ工作のシーンでも、DIYの時でも、お料理する時も、日常の中にエシカルなデザイン活動はあるように思います。いつもの生活に「おもいやりと遊び心」をもつことから、エシカルなデザイン活動は生まれてくるのかもしれません。

船場さん、楽しい時間をありがとうございました!

『ETHICAL DESIGN BOOK』『ETHICAL MATERIAL RESEARCH NOTE』(株式会社船場発行)

マイホームコーサクでエシカルデザインをちょっぴり体験

船場さんから提供いただいた内装材の端材やサンプル材を活用して、コーサクをしませんか?  11月6日(日)に開催するロボコンのステージの周りを飾る家を創ります。10月9日(日)、16日(日)に開催します。詳細・お申込は下記Peatixにご案内しています。