一般社団法人CO-SAKU谷 シモキタFABコーサク室は、学校法人自由学園(東京都東久留米市)の「超本格高校生インターンプログラム『飛び級社会人』」に協力します。同プログラムを通じた高校生受け入れは、昨年に続き2回目となります。
社会へのアプローチを、共に
コーサク室の様子は、日によってかなり異なります。
週末はワークショップで賑わうことも多く、平日は静かにミシンで洋服づくりをする人がいたり、3Dプリンターをいじる会員さんがいたり、誰も来ない日もあります。
スタッフは、決まったことを誰かの指示でしているのではなく、その日その時その瞬間に、やるべきこと、やりたいことを、自然に判断しながらやっています。ルーチンワーク、決まっている仕事というものがほとんどありません。お客様の対応も同じです。必要に応じてお声がけしたり、サポートをすることはあっても、積極的な接客はしません。お客様ご自身の「つくる行為」をその方のペースでできるよう、環境を整えるのがスタッフの役割です。お客様は百人百様、つくるものが同じ、ということはありません。その対応も、都度、異なってくるのです。
そんな環境で、高校生にどんな経験を提供できるだろうか。昨年の受け入れ時に書いた記事を読み返すと、ほぼ同じ葛藤を抱いていることに気づきます・・・。
けれど、昨年の今頃とは、コーサク室の歩み方はかなり変わってきています。
昨年から今年にかけて、私たちはとても大きな経験機会をいただきました。それは、昨年の高校生たちも一緒に取り組んだ「シモキタロボフェス2024」と、今年6月のドイツでのメイカーイベント「Makers United」への参加です。この二つのイベントを通じた経験は、社会に対し、コーサク室はどのような存在意義・存在価値があるのかを何度も何度も自らに問い、私たちの進む方向性を照らしてくれるものとなりました。

▲Makers Unitedには、CO-SAKUロボコンのロボットを持参。たくさんの人に遊んでもらいました

▲「シモキタロボフェス2024」初開催でしたが、地域の人たちのあたたかな支えがあり、大成功でした。
その方向性とは、コーサク室の扉を開いて、私たちは地域へ、広い社会へ積極的に出ていくということ。そして、ご縁をいただいたさまざまなパートナーの皆様と共に、「遊ぶように技術に触れる、手を動かす、かたちにしていく」経験ができる環境や機会を身近なものとし、地域や子どもたち、大人たち、人それぞれの未来の創造と持続可能性にわずかでも役立ててもらうことです。
私たちが、今まさに試行錯誤しながら取り組んでいる社会ヘのアプローチを、ぜひ共に経験してください。そして、高校生の皆さんならではの視点をもって、私たちに刺激をくれることを期待しています。
今回の飛び級社会人では、4人の高校生たちがコーサク室に来てくださいます。皆、異口同音に「ものづくりが好き、興味がある」と話してくれました。嬉しい! 「ものづくり」は本当に素晴らしい営みであり、人生をとても豊かにしてくれるものだと、日々、コーサク室で実感しています。
最後に、私がコーサク室の未来を考えるにあたり、迷った時に読んでいる本から、大好きな一節を共有しておきます。
来週、コーサク室でお会いしましょう!
「制作」とは、実際にやってみることで「未来の情報」を生み出しながら、その次へと進んでいく、あるいは引き返していく往還運動なのである。あらかじめすべての情報が客観的にあるわけではない。未来がある。ただし、探索する行為がなければ存在しない未来なのである。未来は、経験と行為によってそれぞれに創造される。まずは「制作」してみること、そうすることで僕たちは「制作的空間」へと入り込んでいくのだ。
(『制作へ』より抜粋 著:上妻世海)