コーサク室に高校生インターンがやってくる!〜自由学園「超本格高校生インターンプログラム『飛び級社会人』

一般社団法人CO-SAKU谷 シモキタFABコーサク室は、学校法人自由学園(東京都東久留米市)「超本格高校生インターンプログラム『飛び級社会人』」に協力します。

コーサク室の仕事は、ルーチンワークがあるわけでもなく、常にお客様がワラワラ来てくださるわけでもなく、マイペースに、自分で考え興味を持って仕事を創り、失敗の山を築いてようやく何かが始まる、それが日常です。先生も、先輩も、指導者もいません。そんな私たちがお役に立てるのかかなり迷いましたが、お声がけくださった自由学園の方の熱意と、そして「高校生と一緒に何しようかなっ」と考えていたら楽しくなってきて、勇気を出してお引き受けしました。もちろん、決めるのは学生さんたち。誰も選んでくれないかもしれないと、まるで受験生が合格発表待ちをするような気持ちでいたら、来てくれる学生さんが決まりました!ドキドキしていますが、高校生の皆さんとのCO-SAKUを思いきり楽しみたいと思います。

オープニングセレモニー

インターンプログラムは11月からスタートですが、その前に、生徒さんたちと顔合わせができる機会をご用意くださっていました。10月23日(水)、東久留米市にある自由学園にお邪魔し、オープニングセレモニーに参加しました。

正門まで、生徒さんがお出迎えに来てくださって、「初めまして!」とご挨拶。緑がいっぱいの広い敷地をご案内いただきながら、ランチをご一緒すべく、食堂へ。自由学園では、中学・高校の生徒さんが学校や寮での食事作りも行うそうです。その日の献立の予算、実際にかかった食費、栄養計算までしっかりされて、生徒さんが発表してくれました。とっても、美味しくいただきました。ランチの後、オープニングセレモニーの会場へ。

セレモニーでは、受け入れる45の企業・団体を一つひとつご紹介くださり、それぞれに飛び立つ生徒さん166名の名前を一人ひとりよみあげ、生徒さんは名前を呼ばれると、立ち上がって「はい!」と。一人ひとり、一社一社を尊重する、丁寧な姿勢が伝わってきました。また、二人の生徒さんが、代表して抱負を話してくださいました。お二人とも、昨年もこの制度を経験されているようで、このインターンを通じて、働き方、仕事の仕方、社会にいる多様な方々との出会いへの期待を、自分の言葉で力強く語っていました。この抱負を聞いて、「こんなにしっかりした期待に私たちは応えられるだろうか」と急激に緊張してきてしまったのでした。

セレモニーの後は、実際にコーサク室に来てくださる生徒さんたちと、直接お話しする時間がありました。「自分でコーサク室に行くことを決めてくれたのですか?」と思わず聞いてしまいました。「はい、自分で決めました!」という言葉を聞いて、まずはホッと・・・。

インターンシップ期間は来年の2月までですが、11月に下北沢で開催する「シモキタロボフェス2024」のイベント運営を経験いただくことからスタートです。「こんなことも、あんなことも、いろいろやれるかも? 一緒に楽しみましょう!」と話しながら心の中では先ほど聞いた抱負が渦巻き、コーサク室での体験価値は何なのか、自分に問いかけていました。

インターンシップって?

インターンシップといえば、就活前の大学生による就職先を決めるための「就業体験」というのが、一般的でしょうか。実務経験や専門的なスキルを少し身につけたり、企業や業界のことを知ることで自己分析や自分の適性を掴むことに活かしたりといった目的のもの。

でも、今回は高校生です。そして、オープニングセレモニーでお聞きした学園長のお話や生徒さんの抱負から、「飛び級社会人」というこのインターンシップ制度の目的や期待は就業体験にとどまらないのではないかと思いました。そこでもう一度、しっかり同学園の発信されているこのプログラムに込めたメッセージを読み、考えました。

「飛び級社会人」プログラム導入の目的
1.実社会で問題解決に取り組む経験を通じて一人ひとりの思い描く「社会」の解像度を高めてほしい
2.多様な、そして素敵な大人に多く出会い、これからの生き方を問い直してほしい
3.学校と異なるコミュニティに身を置くことで、新しい自分を発見してほしい

この「飛び級社会人」というインターンシッププログラムは、「実務体験」「就業体験」も含みながら、社会の中で自分なりに生きていくための模索の機会を求められているのかもしれません。そして高校生や大学生のみならず、大人になって人生の岐路に立つ時にもこんな機会を得られるといいな、と思いました。

▲オープニングセレモニーの時の集合写真

手を動かす、つくってみる

コーサク室は、ものづくりのシェアスペースです。一般的には「メイカースペース」「工作室」「FABスペース」といった施設に分類されることが多いです。私たちは4年前、ロボット製作のプロジェクトをきっかけに、コーサク室を立ち上げました。機材や工具があれば、ものづくり好きな人がワラワラきてくれるかと思っていました。ワークショップを開催したら、子どもたちがジャンジャンきてくれるかと思っていました。当然ながら、全く、そんなことはありませんでした。

「ものづくり」と一言で言っても、その裾野は本当に広く大きい。自分たちの知識や経験の範囲の「ものづくり」は、かなり狭く小さい点であることに気づかされます。お客様に、どんな機材や工具があるといいか、どのような環境があればご利用いただけるか、いつもお聞きしています。クリエイターさんのワークショップはほとんどスタッフも参加し、ものづくりの楽しさとは何か、クリエイターさんとはどういう仕事なのか、何を求めてお客様は作りに来てくれるのかを知ろうとしています。

この過程は、「ものづくり」という奥深い世界に関して、私たちの解像度を少しずつ高めてくれていると思います。そして、この小さなコーサク室が社会の中でどのような存在になると、作る人や自分たちの喜びとなるのか、その喜びを継続するにはどうすればいいのか、そんな考え方をするようになりました。一施設の運営から、社会の中でのコーサク室という存在として、自分たちと地域や他者との結びつきを考えるようになりました。これがね、面白いんですよ!

ものづくりの背景には、素材や材料があり、技術があり、デザインがあり、機材や道具があり、作り手や使い手の思いがあり、歴史があり、多くの人の試行錯誤や失敗の積み重ねがあります。まずは、興味を持ち、手を動かしてみることからご一緒しましょう! ロボット作ろう!

下北沢を知る、人を知る

今回、コーサク室に来てくれる高校生の皆さんには、「シモキタロボフェス2024」の企画運営に関わっていただきます。本イベントの主催やご支援してくださる方々をご紹介します。

「シモキタロボフェス2024」主催、協力、協賛、後援のご紹介
主催:しもきた商店街振興組合
共催:下北沢大学、一般社団法人CO-SAKU谷シモキタFABコーサク室
協力:下北沢南口商店街振興組合、下北沢東会  
協賛:東洋ドライルーブ株式会社、株式会社ジェイコム東京 世田谷局、昭和信用金庫、東京商工会議所世田谷支部、(公財)世田谷区産業振興公社、株式会社絆、株式会社ヒトカラメディア、株式会社中秀工業、本多劇場グループ、新電機材株式会社、(公社)世田谷工業振興協会、パナソニックホームズ株式会社、ソフトバンク下北沢、株式会社マックエイト、株式会社友成工芸
後援:世田谷区、世田谷まちなか観光交流協会

内容は、主に子どもたちを対象としたロボットコンテンツですが、しもきた商店街振興組合が主催する地域のイベントです。会場も下北沢駅すぐの、古着屋さんや道ゆく人で賑わう商店街の中です。ここにあげたご協力者の皆様を見れば、業界も法人格も多種多様なことがおわかりになるでしょう。

「シモキタロボフェス2024」というイベントが、なぜ、こんなにもご協力をいただくことができているのか。その人、その企業や組織の持つ課題があり、ビジョンがあります。地域を成す構造や文脈の中で、それらの課題と本イベントが何らか結びついたのではないでしょうか。重責を担うことになり、緊張感を持って全力で準備中です。

地域はさまざまな人の生活と人生が集まって成り立ち、有機的にかたちづくられ、時代の要請に応じて変化していきます。下北沢は、再開発でどんどん変わっています。地域イベントというと、「まちの賑わいをつくる」という目的がイメージされるかもしれませんが、決してそれだけではありません。一過性の賑わいに酔うのではなく、その先にある未来像に向かって、このイベントは開催します。高校生の皆さんに、下北沢のまちを愛し、まちの未来にコミットし仕事をしている素敵な大人たちをご紹介する予定です。

高校生たちのコーサク室でのインターンシップ初日は、10月30日です。今後もまた、様子をお伝えしてきますので、お楽しみに!