<ユーザー紹介>ロボット好き、工作好きの頼れるサポーター 樋宮くん&藤原くん

シモキタFABコーサク室には、ユーザーでありながら、運営をサポートしてくれている人たちがいます。中でも、東京都市大学理工学部の学生さんたちは、私たちに、コーサクの楽しさを教えてくれる大切な仲間です。今回は、頼りになる運営サポーターの二人をご紹介します。

●インタビューにご協力くださった方:ロボットエンジニア 樋宮玲雄さん、東京都市大学理工学部機械工学科3年 藤原大季さん
●コーサク室のご利用のしかた:運営サポーター、サークルの課外活動の場として

東京都市大学理工学部の先輩・後輩コンビ

聞き手(コーサク室スタッフ):樋宮くんとはコーサク室ができる前、2019年のロボコンプロジェクトからのお付き合いですね。当時は大学生でしたが、今や、ロボットエンジニアに。自己紹介をお願いします。

樋宮さん:ロボットアーム、四足歩行ロボット、無人搬送車(AGV)などを輸入して販売する会社で、ロボットエンジニアをしています。3年前のロボコンプロジェクトでは、レーザーカッターを使うことができたり、後輩たちと一緒にいろいろできるのがいいなと思って手伝いました。まさか、こんなコーサク室を作ってしまうとは思ってなかったので、びっくりしました。

聞き手:私もびっくりです(笑) 当時、ロボット製作が始まる前に学生さんたちに説明会をしたら、樋宮くん以外誰も来てもらえなかったのも、今では懐かしい思い出です。樋宮くんは、コーサク室の立ち上げも手伝ってくれて、本当に助かりました。ロボットエンジニアというのは、どんな仕事なのですか?

樋宮さん:エンジニアですが、お客様から相談を受けることがとても多い仕事です。「工場の中でこう使いたい」「ここが魅力だから、こんなふうに使いたい」と具体的に相談くださると、とても嬉しくて、なんとかお応えしたいと思ってやっています。

▲初期から手伝ってくれた樋宮さん


聞き手:藤原くんは、樋宮くんの後輩ですよね。

藤原さん:はい、そうです。東京都市大学理工学部機械工学科で、いろんな力学を学んでいます。来年はできれば内燃機関工学研究室に入って、自動車エンジニアを目指したいと考えています。

聞き手:ものづくりの根幹となる領域なんですね。

平面から立体になっていく醍醐味

聞き手:藤原くんは学生仲間と一緒に、昨年に開催したロボコンプロジェクトで、キャタピラーまで自作した「タンクドーザー」を製作してくれました。

樋宮さん:あれは、意匠もすごいよね。

藤原さん:小さい頃から、実家に工作の道具がいろいろあったんです。最初の頃は、顔とか動物とか普通に絵を描いていただけだったんですが、当時『てれびくん』などの雑誌の付録で、工作モノがあったんですよ。それを真似て、だんだん自作するようになったんです。展開図を書いて、切って、糊代をどこにつけるかとか考えて。平面の設計図が立体になっていくのが好きなんです。

聞き手:だから、折り紙も上手なんですね!

▲藤原さん作 折り紙のゴジラ

藤原さん:手書きが好きで、CADとか、あまり使えないんですよ。CADで立体になった姿が先に分かっちゃうと、なんだか残念な感じがしちゃうんです。できたものを再現するのはつまらないな、って思っちゃうんです。手書きで設計して、失敗しても、何ができるかわからないのが楽しい。複雑なものを手書きで作るのがロマン。これから先は、困るかもしれないんですけどね(笑)

樋宮さん:僕は、手書きが苦手だからCADやって3Dプリンターで作ってます。手で書いていたら、絶対できないですよ。

聞き手:真逆ですね!

藤原さん:実は、ロボットってほとんど見たことがなかったんです。でも、コーサク室でロボコンに誘われて。VIVITAのかまかまさんの二足歩行ロボを見た時、そうか、どんな形でもいいのかと。VIVITA ROBOCONのロボットを見た時、ラジコンみたいだなと思いました。それならタイヤは使わないでおこうと。ラジコンといえば走るものだから、駆動の部分を変えるのが一番やりがいがあるなと。ルールの裏をかく、他の人の考えと違うことをしたい、普通がいやだ、みたいなところが自分にはあるんですよね。自分で考えて作る、というのが工作の面白さだと思います。

▲かまかまさんの二足歩行ロボ

聞き手:私たちも藤原くんたちのロボットが出来上がってきた時、ハッとしました。そうだよね、アームの形がなくても、タイヤがなくてもいいんです。もっと自由に作っていいんだって。ちなみに、あのロボットは、藤原くんにとっての完成度はどれくらいですか?

藤原さん:ロボコンでの結果は出せなかったけど、80%くらいかな。形としてはよかったんだけど、大きくなっちゃったんです。セルをどこに置くか、モーターをどこに置くか、などはちゃんと考えておかないと。それは工作とは違うところで、ズレが出てしまいました。セルを二つ並べることができると思ったら、コードが当たちゃって。本当は、セルは中に入れてスッキリさせたかったけど、配線ができなくて。一番難しかったです。

家庭の中で人とロボットが自然に共存する姿を夢見て

聞き手:樋宮くんは、なぜ、ロボットエンジニアの仕事を選んだのですか?

樋宮さん:いろんなロボットに触れられるかな、と思ってこの仕事を選びました。学生の時からロボット好きなんですが、できれば、家庭の中にロボットを導入したい。でも、家庭にロボットが自然に存在している、人とロボットが自然に共存している、という状態になるまでは、まだ時間がかかりそうです。家の中って、本当にみんな違うし、人の心理的にも、機械と共存する、ってなかなか受け入れるのって難しいと思うんです。だから、例えば工場など職場にロボットがいて、仕事では自然に共存していたら、ロボットに対する心理的ハードルも下がるんじゃないかと。

聞き手:なるほどー。コーサク室の看板ロボット「まるる」は、ごくごく自然に共存していて、スタッフの一員と言ってもいいくらいですが。樋宮くんにとっては、なんらか具体的に人の生活に役立つロボットへの関心が強いのですね。イチオシロボットはありますか?

樋宮くん:個人的には、xArmというロボットが好きなんです。

聞き手:排水管みたいな形状のロボットですねぇ。

樋宮くん:指を挟みにくいデザインなんです。軽いし、手先をどれくらいの速度の次元で動かせるか指定できたり、研究開発に向いているインターフェースのロボットです。しかもお手頃価格なので、導入しやすいんです。

聞き手:そこまでロボットに興味を持つようになったのは、何かきっかけがあったんですか?

樋宮くん:うーん、さほど特別なことはないんですが、元からロボットが好きだったので、大学生になっていろいろ調べました。そして、家庭の中で動くロボットのイメージを持ったら「ロボットアームいいな」と。

聞き手:樋宮くんの後輩から聞いた話では、「大学の中を3Dプリンター担いで歩いていた」そうですが?

樋宮くん:今は、3Dプリンター2台は自宅にあって、ブンブン動かしてます。ロボットハンドを作りたいんですが、僕は藤原くんと違って不器用なので、機械に任せたい。3Dプリンターを始めたのは、大学一年の時でした。大学の施設の二子玉川夢キャンパスにあったので、そこで始めました。ほぼ独学ですね。作りたいものがあると、そうせざるを得ないんです。ロボットハンド、ロボットアーム、ロボット本体、全部作りたいけれど、どうやったら動くか、の原理が自分の中で固まっていないので、まだまだ時間がかかりそうです。

▲3Dプリンターを子どもたちに教えてくれています

自分で自分の成長を実感できる場所

聞き手:コーサク室は、お二人にとって、どんな場所ですか? コーサク室でこれからどんなことをできたらいいでしょう?

藤原くん:コーサク室は、原点に戻れる感じがしています。やってることはロボット作りだったりするんですが、感覚的には、小学生だったころ、工作が好きだった頃に戻っている感じがする。僕はこういうことが好きなんだ、と思い出させてくれるんです。折り紙も、久しぶりにコーサク室でやって、あー楽しい、やりたいなあって。将来の夢は車のエンジニアだったんですけど、ちょっと変わってきてるかもしれません。工作というものにはまっている。工作って一見幼稚に見えるけれど、全然そんなことはなくて、もっともっと複雑なものを作りたい。

聞き手:そんなふうに言ってもらえると、本当に嬉しいです。藤原くんがコーサク室に来てくれたのは昨年の11月ごろでしたね。

藤原くん:そうなんですよ。最初は名札を作るくらいしかできなかったけれど、その後にプログラミングを始めたら面白くなって、テンプレロボを作り始めて。今は、マリオカートのようなプログラミングをVIVIWARE Cellで挑戦中です。コーサク室は、目標を立てなくても、目標に向かってやらなくても、自分がやりたいことをやっていくことで成長を感じられるような機会がたくさんある、そんな場所です。

樋宮くん:ユーザーとしては、自分の機材を置かせてもらったり、真空整型機のような使ったことのない機材を使わせてもらったり、とてもありがたいです。立ち上げから関わっているので、これからコーサク室がどうなっていくかも楽しみです。

聞き手:以前にロボコンのサポートをしてもらった時は、「老後への投資です」って話してましたね?

樋宮くん:その気持ちは、今でも同じです。自分が老人になる頃に、今の後輩や子どもたちが、家庭で活躍するロボットを実現させてくれるように。また、3年前に一緒にロボット作った子どもたちに久しぶりに会ったら、めっちゃ背が伸びてたりして、親でもないけれど子どもたちの成長が見られるのも嬉しいです。

聞き手:コーサク室でロボットアーム作ってほしいです!

樋宮くん:作りたいです。ロボットアームと移動するロボットを作って、コーサク室に置いておきたい。それを題材にして、工学的な勉強を学生たちと一緒にやったり、もしたいです。最近ようやく、必要なモーターを手に入れたので、頑張ります! それから、最近、デスクトップ型の射出成型機を作ったんですが、それに流し込む型作りを光造形の3Dプリンターで作りたいです。

聞き手:どんどん、やっちゃってください! 藤原くんは、コーサク室に期待すること、ぜひ教えてください。

藤原くん:やっぱり、たくさんのお客様が来てほしいですね。そして、作ったものを見てほしいし、どうやって作ったのか、その中身まで伝えたいです。見せ場、ください!

聞き手:はい! 見せ場、これからガンガン作っていきますよー。私たちも頑張ります!