<ユーザー紹介>超絶インパクトなロボットを爆誕させた学生チーム「魔針廻」

2021年の「COーSAKU谷 VIVITA ROBOCONプロジェクト」の立役者といえば、間違いなくこの学生チーム「魔針廻(ましんかい)」でした。彼らはコーサク室の運営をサポートしてくれるだけでなく、時に、子どもたちの頼れるお兄さんとして進路相談に乗ったりも。プロジェクトでは抜群のチームワークを見せてくれたチームの3人をご紹介します。

●インタビューにご協力くださった方:東京都市大学理工学部機械システム工学科 柄澤優之さん(3年・写真左)、松岡唯翔さん(2年・写真右)、和地 風河さん(2年・写真中央)
●コーサク室のご利用のしかた:運営サポーター、サークルの課外活動の場として

ロボット好き、が進路の決め手に

聞き手(コーサク室スタッフ):皆さんは、東京都市大学のサークル「機親会」のメンバーですね。3年前に樋宮くんから始まったご縁が、こうして繋がっていることがとても嬉しいです。柄澤くんは「機親会」の会長なんですよね?

柄澤さん:はい、そうです。あと、複数のサークルを取りまとめるような組織があって、そこの会長もやっています。大学では、ロボット系制御やプログラムを勉強してます。

聞き手:それは大役ですねぇ。そしてとっても忙しそうです。柄澤くん、バリバリのリーダータイプには見えないんですけど(失礼!)、立候補したんですか?

柄澤さん:いえいえ、アミダクジで引いちゃって。他学科とも連携した活動をしたりするので、いろんな繋がりができて、視点も広がって、大変ですけど楽しいです。でも、時間が足りなくて、コーサク室に来る時間が減ってしまうのが悩みどころです。

聞き手:それは困ります(笑) 松岡くんは2年生でしたね。

松岡さん:はい、僕は柄澤先輩と同じ理工学部機械システム工学科の2年生です。2年生は、授業がいちばん忙しい時なんです。日々、授業でやった実験のレポートを書いてます。

聞き手:大学では、どんな実験をするのですか?

松岡さん:力学の理論について理解を深める実験です。理論の式と計測した実験値を比較して、考察を出します。理論が成り立っているか、とか、値の関係性、とか。難しいんです。

聞き手:む、むずかしそうですねぇ・・・がんばれぇ・・・。和地くんも2年生だから、同じく忙しいんでしょうね。

和地さん:はい、同じく機械システム工学科の2年生です。まだレポート提出、残ってます・・・。

聞き手:(がんばれぇ・・・)皆さんは、なぜ「機械システム工学科」を選ばれたのですか?

柄澤さん:高校3年生の時に自分の好きなものは何かな、って考えたら「ロボット」だったんです。ウィンウィンと動く感じが好き。そして、自分から離れたものが自分の手で動くのが楽しいし、不思議だなって思うんです。来年は4年生なので、ロボットの自動運転や人型ロボット、ドローンも扱う「高機能制御研究室」に進みたいと思っています。

松岡さん:自分も、ロボットに興味がありました。特に、宇宙で動くロボット。ISSに搭載されたロボットアームとか月面探査機とか。

聞き手:宇宙産業は、これからどんどん技術開発がされていく楽しみな分野ですね。でも、これまで機親会で宇宙系の話を聞いたことがないんですが、宇宙で動くロボットも作ったりするんですか?

松岡さん:いえ、宇宙ロボットに関するサークルは他にあって。機親会は楽しそうだったので入っちゃいました。

和地さん:僕も、ロボット好きです。きっかけは父と一緒に観た「ファーストガンダム」の映画でした。すっかりはまって、アニメも他のシリーズも観て、ガンプラにも。実は高校生の時は、医学系の大学か工学系に進むか悩んだんですが、結局、ロボット制御への興味が強くて今の大学を選びました。将来は、ロボットに関わる仕事をしたいと思っています。

ロボ製作初心者の暴走(?)が生んだキメランドビートル

聞き手:皆さんは、コーサク室で初めて対面されたそうですね。

柄澤さん:そうなんです。コロナ禍で、授業もサークル活動もみんなオンラインだったので。先輩からコーサク室のことを聞いて、ロボット製作のサポートに誘ってもらって来た時に、同じ大学の仲間と初めてリアルで会いました。

聞き手:昨年度のVIVITA ROBOCONプロジェクトでは、有志サポーターの皆さんが子どもたちのロボット製作をサポートしてくれて、とても助かりました。改めて、ありがとうございます! そして何より、すごいインパクトのロボットを製作してくれたことが、子どもたちはもちろん、私たち大人スタッフもとても刺激をもらいました。

柄澤さん:コーサク室のスタッフの方に「インパクトのあるロボ、作って」って言われたので・・・。

聞き手:プレッシャーかけてしまって、すみません! 最初に作ってくれたロボット「キメランドビートル」は、柄澤くんの構想だったのですか?

柄澤さん:実は、ロボットをイチから想像したことがなかったんです。どうしたら動くのか、進むのか、全然わからなかったんです。ホイールの構造も知らないし。でも、歩かせたい、歩くロボットにしたい、というのは最初からありました。だから、いっぱい調べて、歩く構造は既存の情報から真似して作ってみました。初心者ならではの暴走でできた、のかもしれません。

聞き手:アームにも、相当のこだわりが見えました。

松岡さん:アームはリフト構造で作りました。リフトの昇降でアームの高さを調整するんです。実は、一般的なエレベーター構造にしようと思ったんですが、うまくできなくて、無理やり紐で引っ張る構造になってます。性能より、こだわりとロマンを重視しました(笑)

聞き手:ロマン、めちゃいいですねぇ、最高です。昨年のプロジェクトでは、最初のロボコンは、オンライン開催になりました。ロボットはコーサク室にあるのですが、操縦は遠隔からオンラインで。子どもたちは自宅から操縦してもらいました。和地くんが操縦を引き受けていましたね。

和地さん:コーサク室のサポーターに加わった夏ごろは、まだプログラミングの知識などもほとんどなかったんです。でも、大学でプログラミング基礎の授業を受けて少し理論がわかってきたので、いろんなプログラムサンプルを見たり、調べたり。本当に、ずっと手探りでやっていました。VIVIWARE Cellは、仕組みを理解したらとても使いやすくて、やりやすかったです。

▲「キメランドビートル」複雑に組まれた脚まわり、アームはリフト構造。ロボコン当日に現れたその勇姿に、みんなの期待が集まりました。

 

頭で学び構想する、それをコーサク室でつくる。大学ではできない経験ができた

聞き手:コーサク室で初めて対面したとは思えないチームワークですね。

和地さん:最初は、機親会はこの3人しかいなくて。途中から藤原先輩が加わって、いろんなやりたい構想が出てきて、やっていくうちになんとなく「よし、やろう」というようなチームのカタチができてきたのかな、と思います。

松岡さん:大学で理論を学んで実験もしているけれど、実際に「つくる」まではやれる機会がほとんどないんです。ロボット制御の理論を学んだり構想を立てて発表まではするんですが、ロボット製作まではやらない。だから、実際に手を動かして作れるのはとても嬉しかったんです。

柄澤さん:そうなんだよね。ものづくりを、頭で考えていても実物にすることができなかったんです。ずっと頭の中で想像を膨らませているものを、頭から放ちたい、作りたいと思っていたんです。でも、作りたいと思っても、素材すら何を使えばいいかもわからなかったし。

和地さん:僕は、外部のワークショップなどでロボットを学べるものを探したりもしていました。小学生向けなどはたくさんあるんですが、僕らができるようなものはほとんどなくて。あっても、高額だったり。だから、コーサク室の運営をサポートしながらロボット製作ができるのは、とてもいい機会。後輩の一年生たちにも、次は参加してほしいと思っています。

聞き手:大学で理論を学び、コーサク室では実際に手を動かしてものづくりをする。両方とも、とても大事に思います。皆さんにとっていい経験に繋がっていたのなら、本当に嬉しいです。後輩の皆さーん、ウェルカムですよ! そして、次はどんなことをしたいですか?

柄澤さん:僕は「BB-8」みたいなロボットをつくりたいです。丸くて、曲線をうまく使うデザインのロボット。だから、曲面を作れる材料が欲しいです。できれば3Dプリンターを使わないで挑戦してみたい。プラスティックを溶かしたり、塗装もしてみたい。

松岡さん:空を飛ぶロボットをつくってみたいです。姿勢制御に挑戦したいんです。3Dプリンターも使えるようになって、できることが増えたので。プラスチックが使えるならドローンとか。軽くて丈夫だし。

和地さん:僕は、自分が構想を立てるというよりは、他の人の要望やこだわりをぶつけられると、なんとかやってみようと思うタイプです。前回の「タンクドーザー」も、藤原先輩の強いこだわりに、どうしたら実現できるか必死に考えました。正直なところ、プログラムは地獄のような作業でした。「音出したい、光らせたい、動くと同時に音が鳴るとか、ボタンを押すと色がついてさらに出力が変わって・・・」と、次から次へと要望とこだわりをぶつけられて。自分から提案もしたんですけど、「こっちの方がかっこいいジャーン」と言われて(笑)

▲「タンクドーザー」迫力あるボディに刻まれた意匠にも注目

聞き手:皆さん、それぞれが自分の好きな分野や得意な役割が見えていて、本当にいいチームだなと思います。後輩の皆さんにも、ぜひ、バトンを渡していってくださいね。最後に、コーサク室への期待をお願いします!

柄澤さん:他大学の学生や、工学系でなくても、芸術系やデザイン系など、いろんな大学生にきてほしいです。

聞き手:そうですね! 私たちも、ぜひ来てほしいです。この記事読んだいろんな学生さん、お待ちしています!

▲課題をする学生にエンジニアが教えたり、メーカーさんが持ち込むサンプルを試したり。そんないろんな交錯を、もっと起こしていきたいと思っています