シモキタFABコーサク室をご利用いただいている皆さまを、少しずつご紹介していきます。年齢・仕事・学校、みんな背景はバラバラの人たちがいて、時に機材の音や話し声がBGMになる空間で、何かを作ったり、仕事したり、遊んだり。コワーキングスペースとしても、ものづくりスペースとしても、やや異色のコーサク室。実際のところ、お客さまから見て使い勝手はどうなんでしょう、とスタッフとしても気になっています。そこで、コーサク室のいいところ・イマイチなところ、もお聞きしてみました。
●インタビューにご協力くださった方:VIVIWARE 株式会社 嶋田 翔三郎さん、柏本 和俊さん、新居 英明さん
●コーサク室のご利用のしかた:開発拠点として利用(法人会員)
会社のご紹介
聞き手(コーサク室スタッフ):コーサク室のルーツであり、コーサク室を共に育てていただいている、と言っても過言ではないのが、ロボット製作&ロボコンのプロジェクト「VIVITA ROBOCON」。そこで活躍するプロトタイピングツール「VIVIWARE Cell」を開発されているのが、VIVIWARE株式会社さんです。改めて、会社のご紹介をお願いします。
嶋田さん:ものづくりをサポートするような会社です。皆さんに、もっともっと、ものづくりをしてほしい。そのために、ものづくりを簡単に楽しくするようなツールを開発しています。電子工作って、まだ大人でも難しい。気軽に壊れる心配なく、すぐつながる、目に見える、簡単に触れる、そんなツールです。
新居さん:世の中のいろんなものはみんな電気で動いている。でも、電気でどうやって動いているのかは、あまりわからないですよね。そこを解きほぐすためのツールがあるといいなと。なるべく使いやすい、でも電気のことも少しわかる、そんなツール。もちろん、部品を集めてつくることもできるんですが、それはとても大変です。また、レゴブロックのようなツールはおもしろいけれど、できることにはどうしても制約がありますね。いわば、すごく深く難しいところと簡単に楽しめるところ、その間を自由に行き来するようなツール、それがVIVIWARE Cellなんです。
柏本さん:僕の解釈だと、VIVIWARE Cellはものづくりの本質的なところに素早く到達するためのツール。ものづくりって階段を登っていくんですけど、最初の一段が超難しい。電子回路やプログラミングを一生懸命に勉強したり練習しなくちゃいけない。二段目以降は楽しいところが待っているんだけど、難しい一段目があるから、楽しいところになかなか到達しない。VIVIWARE Cellは、そこをすっ飛ばして、二段目の楽しいところからスタートしようと。めんどうなプログラミングとか、図面設計のパスの知識とか、みんなすっ飛ばして、ものづくりができるようにしているんです。
聞き手:「なんの会社ですか?」っていう質問に、皆さんちょっとずつ違う言葉で表現されて、面白いですね。皆さんは、エンジニアですよね?
嶋田さん:僕は会社の代表なので、VIVIWARE Cellを使ってもらうためならなんでもやります、というポジションです。
柏本さん:僕は「企画 兼 エンジニア」。VIVIWARE Cellを使って次はどんな楽しいことをしようかと、ずっと考えてます。今はロボット中心だけど、変身ワークショップとか面白い使い方があって。いろんな活動をしていきたいです。
企画するエンジニア
聞き手:「企画するエンジニア」って、一般的なエンジニアのイメージと少し違う感じがしますね。
柏本さん:本来、エンジニアって企画するものなんですよ。でも分業が進んじゃうと、違っちゃうんですけど。起業家精神のエンジニアを増やしていきたいし、自分もそうでありたいんです。
新居さん:僕は「ものを作って面白い」と思う人を世の中に増やしたい。自分が面白い、と思ったものを製品化したい。「これ面白いでしょー」と言ったら「そうそう」と応えてくれる人が増えると世の中よくなりそう、と思って。
嶋田さん:一昨年くらいまではゴリゴリ開発していたんですけど、ある程度開発が終わって今は拡げるフェーズなんです。VIVIWARE Cellを使って何ができるか、っていうのをみんなでやってます。
柏本さん:ゴールデンウィークは、兵庫県神戸市にあるデザイン・クリエイティブセンター神戸、通称「KIITO(キイト)」神戸でお化け屋敷を作ったんですよ。めちゃくちゃ盛り上がりました!
聞き手:近かったら行きたかったです! 仕掛けだけでなく、シナリオというかストーリーも相当に怖い、そうですね?
柏本さん:シナリオライター、僕です!
聞き手:子どもたちと一緒に作られたんですか?
柏本さん:どんな仕掛けやキャラクターがいたら怖いか、というのは子どもたちがたくさんアイデアを出してくれました。それらを一本のストーリーにまとめるところを僕が引き受けました。ストーリーは↓こんな感じです。
『会場となったKIITO(きいと)は、戦後、生糸検査場として使われていたのですが、実はその当時から「開かずの部屋」があったんですよ。時折、うめき声が聞こえたり、何か得体の知れないものが出てきたりして、職員を困らせていました。昭和60年代には、ここで息子さんを亡くしてしまった方がいて。実は生糸が足りない時に、人間の筋繊維を輸出しようとしていて、その実験のために拉致されてしまったのです・・・』
※子どもたちのアイデアを元に創られたフィクションのストーリーです
聞き手:ちょっとお聞きしただけでも、案外リアルにありそうで、怖いです・・・。コーサク室は、この建物全体を「魔法の館」にしたいなと思ってます。怖くなくていいんですけど、いろんな魔法を仕掛けたいです。その時は、ぜひお力をお貸しください!
コーサク室の使い勝手は?
聞き手:普段はなかなか言いづらいこともあると思うので、この機会に、コーサク室の雰囲気や使い勝手など、率直に教えてください。
嶋田さん:コーサク室のいいところは、いろんな方がいるところ。普通のオフィスだったら、自分達と自分達のお客様くらいにしか会わない。ここだと、いろんな人と出会う。ここに来る人たちとつながったり、僕らが連れてくる人とコーサク室の人がつながったり。
柏本さん:コワーキングスペースでもそういうのをウリにしているところは多いけれど、案外、他の人との対話はそれほど発生しないんですよね。みんな黙々と自分の仕事をしていたり、独立している感じ。ここは、みんなが顔を突き合わせて、誰でも話しはじめちゃう。
新居さん:確かに、いろんな人とのつながりをつくろうとしているメイカースペースもあるけれど、月に1回とか、イベント的になっているかな。ここは、そういうのとはちょっと違いますね。日常的に距離感が近いように思います。
子どもたちが何か作って、壊して、楽しむ、そんな姿を見たい
聞き手:ありがとうございます。大きな机をドーンと配置しているので、必然的に、お客さま同士の距離が近くなるのかも? イマイチなところも、どうぞ教えてください。
柏本さん:子どもがものづくりする様子を、もっとみられると嬉しいです。VIVISTOP柏の葉では、土日に行くと子どもたちがいっぱいいた。暇つぶしにきている子も多かったけれど。ここは大人同士はいいコミュニティができ始めている気がするんですが、子どものコミュニティもできていくといいなあと思います。
新居さん:そのあたりの端材で何か作っては壊す、そんなことをしている子どもがもっといっぱいいるといいですよね。週末にくる子どもが多いなら、普段のコーサク室の様子がわかるような仕掛けがあるといいかも。
聞き手:確かに、VIVITA ROBOCONのプロジェクトが終わった後、毎日のように来ていた子どもたちがいないと、ちょっと寂しいですね。子どもたちやその保護者の皆さんとはプロジェクト終了後もつながっていて、ワークショップなどで顔を出してくれていますが、もう少し何か仕掛けが必要かもしれません。子どもたちだけでなく、お父さん・お母さんも使ってほしいと思っています。お父さんが夢中になって何かを作っていたり、お母さんがデジファブに挑戦していたり。そんな姿を子どもたちに見せたいと思っています。
試作中製品の置き場所があったらいいな
嶋田さん:僕らはハードウェアを作っているから、何かと置き場所をとっちゃう。コーサク室に材料や機材は置かせてもらっているんですが、製作途中のものを置けたらいいなと。今、30cm×50cmくらいのUFOキャッチャーを自宅で作っているんですけど、毎回片付けるわけにはいかなくて。
新居さん:製品にまだなっていない、内部で作っているものを、実験的にみんなに見せられると嬉しいです。興味ある人がみて、意見くれる、みたいなことができたら。私は週に1回はコーサク室に来るんですが、FABスペースに座って、手を伸ばせるところにレーザーカッターや3Dプリンター、工具があって。なんとも居心地よく便利に使わせてもらっています。
聞き手:ここは「工作室」なので、作品やそれができるプロセスが見えるのはとても嬉しい。来た人に勝手に紹介しちゃうから、いろんな人が触っちゃうけれど、それさえOKいただけるなら大歓迎です。テストマーケティングの機会づくりは、私たちがとってもやりたいことです。先日は、ネットで見かけた電子部品がいいなと思ってツイートしたら、メーカーさんが持ってきてくださって、その場にいた工学部の学生さんたちが夢中で触っていました。どんどんスタッフにお声がけください!
柏本さん:工具が使いやすくなりましたね。あの、ツールカウンターもいい感じです。
聞き手:ありがとうございます! スタッフの力作です。工具の収納なども悩むところですが、使い手の皆さんからのリクエストに応えていくのがいちばんの改善になると思ってます。
シモキタランチ最高!
嶋田さん:何より立地が最高です。駅から近いし、工作と言う観点では、ドンキも100均も模型屋さんもあって、何かあればすぐに買いに走れます。そして何よりお昼ご飯が大充実!これ、かなり大事です。しかもチェーンの飲食店でなく、個人経営の美味しいお店がいっぱいある。
柏本さん:食でランク付けすると、僕の人生史上、一番です。お値段も手頃だし。イチオシは、スパイスラーメン、かな。
嶋田さん:僕は切り落としランチの焼肉屋さん。種類も多くて、食べ応えある。
新居さん:ステーキサンドイッチ屋さんもいいですよね。パンよりお肉の方が多いサンドイッチ。
聞き手:シモキタのまちも楽しんでいただけているようで、とっても嬉しいです。コーサク室で、もっとVIVIWARE Cellに触れて遊んでもらえるように、私たちも工夫します。これからもどうぞよろしくお願いします!